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2008/01/20

シルク

まだまだ世界の距離が遠い時代。遠距離恋愛。浮気。そういう言葉も浮かび上がれば激しい情愛も頭をよぎる。しかし物語はとても静か。静謐。じっくりとラストまで味わい深い物語。

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フランスのとある町で幸せをはぐくむ二人。そこに町絹糸産業の要である蚕が疫病により全滅の危機に瀕する。健康な蚕の卵を求めて主人公はアフリカや中東をめぐり、極東の日本まで足を運ぶ。

主人公の弾性を演じるのはマイケル・ピット。その妻演じるのはキーラ・ナイトレイ。二人とも端正なマスクによってヨーロッパの貴族風のイメージがぴったり。日本の出演者としては役所広司、芦名星、中谷美紀などなど。

映画の主軸はヨーロッパと日本を行き来する主人公の表情の変化に注目。

家に帰れば愛する妻との生活に十分に満足する日々。妻の夢である百合の庭園造りのために土地を購入する主人公。しかしその心の片隅に常に付きまとう日本の女性。

恋と呼べるほどの激情は見て取れない。でも遥か彼方の日本への旅を待ったく厭わない主人公。この辺りの心情描画が絶妙です。

一歩間違えば、どろどろとした恋愛映画にもなるし、荒唐無稽な恋愛映画にも成り下がってしまう。このつかず離れず、決しておぼれることなく胸のうちに秘めながらも、悶々とする様子もない。不思議な空気をかもし出しているのが、とても見ていて楽しかった。

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主人公が妻を亡くし、真実を知ったラスト。一人庭園に佇む姿。不思議なほど寂しさがなかった。そう見えたのは私だけでしょうか。

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